スズキのネーミングセンス

ニンジャ

日本や海外には多くのバイクメーカーがあり、毎年多くのバイクが発売されていますが、そのバイクの機種名の多くは、アルファベットと排気量を表した数字で表記される事が多いです。
例えばホンダで言うと「CB1100」や「CBR250R」、ヤマハでは「SR400」や「VMAX」、「YW250R」等が有名ですね。

ちょっと昔からは、これらの名前にペットネームを付ける事が一般的なっていて、カワサキの「ニンジャ」が現在でも愛称として呼ばれています。
この機種名には少数派ながら「アフリカツイン」や「イーハトーブ」等の、そのバイクをイメージさせやすいネーミングも存在しました。

スズキネーミングワールドの歴史

ホンダやヤマハは割と正統派的なネーミングなのですが、スズキは一風変わった名称を付けてきた歴史があります。
終戦後の日本では、現在とは比べる事が出来無いほど技術が無い状態でした。
1950年代当時のバイクは、今の原付バイクやスクーターとは全く違う外観をしていて、自転車にやかんの様なエンジンを付けた、正に原動機付自転車と言ったデザインです。

スズキが1952年に発売した原動機付自転車は、「パワーフリー」とネーミングされて、これがスズキ製バイクの第一号となりました。
パワフルさを売りにしたこのバイクには、パワーフリーのエンブレムが、メーカーであるスズキのエンブレムそっちのけで付けられ、ここからスズキネーミングワールドの歴史がスタートします。

1953年に発売されたバイクには、「パワーフリーよりも馬力がアップ」を意識して、「ダイヤモンドフリー」とネーミングされました。
当時としては豪華さを出そうとしたのかも知れませんが、現在では少しイメージが沸きにくいネーミングなのかもしれません。

1954年には本格的なバイクを発表し、このバイクには「コレダ」との名称が付けられましたが、このネーミングも「バイクはこれだ!」との思いが込められています。
単刀直入なネーミングですね。
この精神は2003年に発売された、50ccスクーターにも受け継がれ、「ちょい乗り感覚で乗れる」を強調した「チョイノリ」がネーミングされました。

1980年発売のGSX1100Sには、その先進的なデザインから彷彿された日本刀の「KATANA」の名称が正式採用されましたが、車体に付けられたマークには「刀」では無く「刃」と表記した漢字デザインで、これ以降は「カタナ」を「刃」と覚える人が続出したらしいです。
因みにこのGSX1100S KATANAのキャッチコピーは、当時大流行していたインベーダーゲームに由来した「スペースインベーダー」が採用されました。

スズキの企業ポリシーは「人と同じ事はしない。やるなら世界一を目指す」との旨となっています。その背景には、他のバイクメーカーと一線を画したデザインやネーミングで勝負して来た歴史があり、その個性的なバイク作りが、世界中に多くのファンを持っている要因の一つかも知れませんね。